犬飼会長は、まだ「秋春制」に未練をもっているらしい。
昨日、日本サッカー協会の将来構想委員会が「秋春制へは移行しない」という結論を出し、秋春制への移行見送りが事実上決定したという報道を読んで安心していたのだが、ヤツはまだあきらめていなかったのである。犬飼によれば「議論が不十分」とかで、今後は協会に新組織を立ち上げて検討を続ける方針を示したのだそうだ。
要するに、どんな反対意見があっても、もともとゴリ押ししようという魂胆だったのだろう。もしかしたら、話を蒸し返すことで話題性を喚起し、野球一色のスポーツ欄の中に少しでもサッカー枠を広げたいという意図があってわざとやっていたのかもしれないけど(たぶんそれはないな)。
観客の立場として書かせてもらえれば、「真冬にサッカー観戦なんてしたくない」ということに尽きる。もちろん、世の中には寒さに強い人もいるし、どんなコンディションだろうと愛するチームのためにスタジアムに駆けつけるという人もいるだろう。だが、そんな客はどちらかといえば少数派のはずだ。
試合は90分だが、観客がスタジアムにいる時間はほぼ2時間だ。早めに入場するために並ぶ人も多く、実際にはもっと長い時間をスタジアムで過ごすことになる。
寒さは我慢していればいいというものではなく、身体が冷えたことをきっかけにさまざまな病気を誘発することもある。子供の健康を心配する親は連れては来ないだろうし、冷え性の女性も敬遠しそう。つまり、集客に有効なファミリー層がごそっといなくなることになる。
そういえば、真夏の試合を避けたい理由のひとつとして「ゲリラ豪雨」を挙げていたが、それならば冬の大雪や凍結はどうなのだろうか。
交通機関は止まるし、クルマで移動するにも危険だし、選手たちも怪我をするかもしれない。こんなことを言い出せばキリがなく、秋には台風がやってくるし、春は強風が吹いたり、花粉症で大変な人もいる。一年を通して屋内でやれってことかよ!?と突っ込みたくなってしまう。
もちろん、猛暑のもとでの試合は選手も疲弊するし、いい内容の試合が少なくなってしまうのも事実だ。だが、日本代表の主戦場がアジアである以上、ある程度は「暑さ」に慣れる必要はある。
気温40度というアウェイの地は珍しくないし、日本代表がめざすW杯だって、北半球で開催される限りは暑さとの戦いになりかねない。国際舞台で日本代表が戦うとしたら、どう考えても「寒さ」よりは「暑さ」に慣れておくほうが有利にも思えるのだ。
「秋春制になれば選手の移籍がスムースになる」のかもしれないが、それ以前に重要なのが「海外からオファーされるような選手を育成する」ことだろう。いくらスケジュールが整っていても、魅力的な日本人選手がいなければ海外移籍は実現しない。
結局、冷静に考えれば「Jリーグを魅力的で強いリーグにしなければ、いい選手も育たないし、代表も強くならないし、選手の海外移籍もできない」ということなのだ。で、魅力的なJのために「秋春制」が有効かといえば、これはもう答えはわかりきっているはず。
金融危機のこのご時勢に、膨大な設備投資が必要とされる「秋春制」はますますもって非現実的といわなければならないだろう。本当にわけのわからない人だね、この会長は。彼には今週末、ぜひ山形で「山形VS名古屋」の試合を見てきてもらいたいものだ。そして現場でファンの声をしっかり聞いてくること。
わがクラブの社長は実にフットワークが軽く、スタジアムはもちろん、ペーニャの宴会にもひんぱんに顔を見せてくれるが、JFAの会長ともなると冷暖房完備のVIPルームを出ることはないんだろうね。もし日本各地のスタジアムに本当に足を運んでいたのであれば、こんな寝言は出てこないはずだから。
◆おまけ◆
真冬に2ヶ月近くのウィンターブレイクを入れて、かつJ1が全12チームくらいだったら、秋春制も可能かもよ!?
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