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2005/07/25

ランスの最後の夏

ランス・アームストロングの自転車選手として最後の夏が終わった。

最終ステージの前半は、まさに王者の凱旋といった雰囲気だった。王に謁見を賜るかのように、各国の選手たちが次々とやってきて声をかけ、握手をして去っていく。王もまた、それぞれのチームのスタッフへ挨拶をしに訪れる。何か荘厳な儀式を見ているような気分になった。

思い返してみれば、ランスが引退宣言をした瞬間にこの総合優勝は決まっていたのかもしれない。前人未到の6連覇を達成した王者に引退の花道を用意しよう。今回のツールはそうやって始まって、その目的を達成したかのようだ。個々のステージやマイヨ・ジョーヌ以外のジャージ争いはそれなりに面白かったけれど、そもそもプロローグの時からランスの総合優勝は約束されていたも同然だった。いつもは悪口ばかり書いているフランスのマスコミも、今回ばかりは「引退するから」「これが最後だから」その口調が多少やわらいだような印象もあったりして。

ランスがいなくなった来年のツールでは、空位となった王座をめぐって熾烈な戦いが展開されるだろうし、そうでなくては困る。願わくば、今回表彰台には上がらなかったようなニュー・ヒーローの誕生を望みたい。

私にとってはわずか3年分だったけど、生きた伝説のランスの走りを生で(TV画面を通してだけれど)見られたのは本当に幸せだった。ペレもマラドーナもその全盛期は見ていないけれど、もし見ていたらきっと後々まで自慢したことだろう。今まではなかなか歴史の瞬間には立ち会えなかったけれど、これで遠い将来「ランスの7連覇の瞬間は生で見てたんだよねー」と自慢できるようになったわけだ。

ヒマワリ畑の向こうを、黄色いジャージを着たランスが走り抜けていく映像は、多くの人々の記憶にいつまでも残るだろう。

「僕は100歳で死にたい。(中略)
フランスのどこまでも続くヒマワリ畑の中に身を横たえ、静かに息を引き取りたい」

「ただマイヨ・ジョーヌのためでなく」の冒頭の文は、初めて読んだ時から、そして今はなおのこと、映像となって私の脳裏に浮かんでくるようだ。

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