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2006/04/12

「自転車で痩せた人」

0088178「自転車に乗って健康になろう」という本が出た。

「自転車で痩せた人」の著者・高千穂遙さんはいわずとしれたSF作家。4年ほど前、50歳を迎えた時には「体重84キロ、体脂肪率24%」で、コレステロール値も血圧も高く、生活習慣病一歩手前。ところが一念発起してスポーツ自転車を購入、ハマってしまってからはみるみるうちにさまざまな数値が下がり始める。今じゃ「体重59キロ、体脂肪率9%」。増えた数値は年齢だけだ(笑)。

これは、実体験をまじえながら「自転車でいかにして健康になるか」のノウハウをやさしく説き明かしてくれる本なのだ。

今は「週に4回、2本の坂を含む60キロ」を愛車TREK5500で走っている高千穂さんだが、もちろん最初からそうだったわけではない。はじめのころはそんなに距離を走れなかったし、坂も嫌いだったし、身体にピッタリした自転車服にも抵抗があった。

それからいかにして自転車にハマっていったのかという過程はとてもおもしろいが、たぶん常人がマネをしようとしてもムリだろう。もともと、スキーやテニスはプロのコーチに学び、バイクに乗ればチームをつくってレースに出てしまうほどの凝り性な人だ。54歳で体脂肪率ひとケタというのも、常識の範囲外の数値ではないだろうか。実際、急激にヤセた時は、周囲から「深刻な病気ではないか」と心配されてしまったとか(本には載っていないが、「自転車使用前/使用後」の写真はご本人のサイトにある。一見の価値あり!)。

とはいえ、この本の主題は高千穂さんの驚くべき修行ぶりではなく、あくまで「自転車で健康になるための方法」にある。初めてスポーツ自転車に乗ろうという人が知るべきことが、ここにはすべて書いてある。自転車の選び方、どこで買うのか、ほかに何が必要なのか、どんな乗り方が効果的なのか、そして自転車乗りが無視しがちな「道路交通法」のことまでが、簡潔だけれどわかりやすく記述されている。

個人的に勉強になったのが、やはり「道路交通法」について。私はふだんはママチャリ乗りで、自分の都合によって「歩行者」ふうに走ってみたり「軽車両」を装ってみたりしていたのだが、認識を改めなきゃいけないと反省した。手信号はダンナがよく使うけれど、私はきちんと知らなかったので、これについてわかったのも収穫。中山蛙さんによる、かわいいながらも正確なイラストがたくさんあって、理解を助けてくれるのもうれしい(自転車のイラストというのは、わかっている人が描かないといいかげんになってしまうものなのだ)。

新書という媒体で発表されたため、HOWTO本に徹しているけれど、欲をいえばもっとエッセイ主体の本を読んでみたい。高千穂さんは、私の「自転車師匠」であり、自転車生活を実現させてくれた恩人なのだが、ともかく自転車について語らせれば、もう数冊本ができるくらいにいろいろネタがある人なのだ。自転車の素晴らしさを世間に伝える「自転車伝道師」的な人といえば、疋田智さんや、音楽界では忌野清志郎さん、アニメ界では高坂希太郎さん……といった人材がいるけれど、小説界&団塊世代(厳密にはもっと若いけど)代表として、高千穂さんがもっと頑張ってくれるといいなあ、と思う次第なのである。

(残念ながら、NHK出版の「生活人新書」というのは新書界ではマイナーらしく、書店のどこにあるかわからなかったりする。新書ブームだし、新刊ラッシュの中に埋もれてしまっているかも。頑張って探してほしい)

*この手のレビューを書くときは、ふだんは個人名に「さん」は付けない主義なのだけど、どうも個人的に知っている人についてはそれができない。他のブックレビューと文体が統一できていないのが、我ながらちょっと心残りだったりする……。

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コメント

これ、既に読みました(amazonで予約しといたので)
小説も以前から読んでますがそれとは別に、オートバイ、スキー、自転車と気付くと同じフィールドに居るので妙に気になる人です。
嗜好がどこか似ているのかなあ? ^^;
自分も凝り性ですがこの人の凝り性は次元が違いますね。真似できません(笑

イラストの中山蛙さんも相変わらず上手いですよね。
この人の描くモーターサイクルは昔から大好きです。
寡作なので見かける機会は少ないですけど。
自転車もいい雰囲気だなあ。

この本に続けて読んだのが、『伝染るんです。』の吉田戦車氏のエッセイ「吉田自転車」。
こちらは「自転車で痩せた人」と違ってお役立ち度はゼロですが(笑、脱力加減がなんとも。。。。^^;

投稿: waju | 2006/04/12 13:56

wajuさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

「吉田自転車」、私も読みましたよ~。文庫になるとあんなに薄くなってしまうのですね。私の自転車生活は、どちらかといえば吉田戦車さんのほうに近いかも(笑)。自転車本レビューはきちんとやりたいので、そのうち取り上げようかと思っています。

「自転車で痩せた人」、せっかくNHK出版から出たのですから、そのうち教育テレビ「趣味悠々」とかに出てほしいなあ、と思ってしまうのですが、出版部門とTVのほうは全然別なのかもしれません。でも、希望を捨てずに応援します(笑)。

投稿: つぴぃ | 2006/04/12 15:27

おはようございます。
私も自転車で十数キロ痩せました。周囲には「病気?」と心配されましたねぇ。
実は冬を越して少し体重が増えてしまったので、その本も読んでみたいと思います。

投稿: nuruhati1559 | 2006/04/13 08:50

nurihatiさん、おはようございます&コメントありがとうございます。

すでに自転車生活をしておられるのですから、HOWTOな部分を読むというよりは、著者のハマり具合を堪能する、という読み方が面白いのではないかと思います。読みやすい文章は、さすが作家! 気軽に読んでみてください。

投稿: つぴぃ | 2006/04/13 10:42

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