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2007/05/09

たとえ敗れようとも

06-07シーズンのイングリッシュ・プレミアリーグの優勝チームは、マンチェスター・ユナイテッドになった。

優勝が決まったのは、日曜夜のアーセナルVSチェルシー戦が1-1のドローで終わったため。チェルシーが逆転優勝できるとは(希望はともかくとして現実的には)思っていなかったが、それでも「ああ、本当にこれで終わってしまったのか……」と落ち込んでしまった。

でも、この試合のすばらしいシーンは、試合後にあったのだ。

ガックリと肩を落とすチェルシーの選手たち。モウリーニョはピッチに入っていくと、アウェイ席に陣取るチェルシーサポの席へ一直線に大股で歩いていく。当然、ファンたちはモウリーニョコールを始める。だが、監督はファンの前に行くと、ピッチのほうを指差して何ごとかを訴える。「みんなで選手たちを称えよう!」とあおっているらしい。

モウリーニョにうながされ、選手たちもアウェイゴール裏へ向かう。監督としっかり抱き合う選手たち。ジョン・テリーは泣いていたようにも見えた。選手はユニフォームなどを客席に投げ込み、ファンと選手たちが一体となる。エミレーツ・スタジアムなのに、その場だけはスタンフォード・ブリッジになっていたよ……。誇らしげで満足そうな表情のモウリーニョ。敗軍の将とは思えないすがすがしさだった。

何ごとも計算づくで行動する彼だけに、この日のパフォーマンスもそうしたものだったのかもしれないが、それでも感動的だった。チームを評して「ファミリーだ」と語ったのはキャプテンのジョン・テリーだが、改めてそれを再認識させられた。

近年は金満クラブ、高額年俸という側面でばかり語られるチェルシーだが、スターを寄せ集めた他のビッグクラブとは一線を画した一体感と結束力がこのチームにはあって、それが私を引き付けてやまないのだ(ファミリーに入れないままだった選手も何人かいたみたいだけどさ)。

今夜はホームにて、優勝チーム・マンチェスター・ユナイテッドとの対戦。王者をスタンフォード・ブリッジに迎えるのは屈辱かもしれないが、その場で優勝を決められるよりはマシというものだ。FAカップ決勝の予行練習となるのか、決戦を控えて慎重なメンバー構成にするのか、どのような策をとってくるのかはわからないが、いい試合になることは間違いないだろう。

今季のチェルシーは、「こんなの本当のチェルシーじゃない」という状態で始まり、そのまま終わってしまったような感じ。ツェフやクディチーニ、テリーなど、予期せぬ負傷が続いたのも誤算だっただろうし、モウリーニョの意にそぐわない(たぶん)スターが2人加入したこともチームの足を引っ張った。

モウリーニョになってからの3年でいちばん良くないチームだったにもかかわらず、ほんの1週間前まで「4冠」を狙える位置につけていたことは驚くべきことだし、賞賛に値する。幸いにして、モウリーニョの続投はほぼ決まっているようだ。来シーズンこそは、きっと本来の「モウリーニョのチーム」が見られるに違いない。



最新刊も出たことだしで、モウリーニョ本もご紹介。

最新刊の「モウリーニョ どうしてこんなに勝てるのか?」は、過去の彼の発言をもとに独自のトレーニング方法を紹介するもの。「モウリーニョ語録」として読んでもおもしろいが、あくまでモウリーニョ・ファン向けの一冊。ヒロミにはぜひ読んでもらいたい……って、モウリーニョのマネジメントは彼にしかできないことだから、あんまり参考にはならないか。

ジョゼ・モウリーニョ」は、ポルトガル時代からの親友の手によるモウリーニョの伝記。ポルトで優勝するまでの軌跡がつづられており、彼についての本ではこれが決定打。おススメ。

ジョゼ・モウリーニョ 勝者の解剖学」は、イギリス人記者が本人への取材もせずに書いた本。若干悪意も入っているが、少年時代のモウリーニョのエピソードなどもあって興味深い。ただし、翻訳も読みにくいし、あまりおススメとはいえない。モウリーニョ本なら何でも読みたいというマニア向け。

スター級の選手ばかり集めながら、チェルシーはどうしてこんなにチームとしてまとまっているのか。なぜ労を惜しまず、最後まで走り続けられるのか。先制されていても、自分たちは絶対に負けない!という強い精神力をもって戦えるのか。いちばん知りたいのはそのことだ。なぜなら、彼らの美点のひとつとして(その片鱗さえも)、我がFC東京には見られないからだ。やっぱり監督のせいなのか。でも、モウリーニョは一人しかいないからなあ。ああ、それにしてもままならない世の中であることよ。今宵の国立はどうなることやら。

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