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2007/08/15

「河童のクゥと夏休み」

河童のクゥと夏休み」を見てきた。

もともと、見るつもりはなかった映画。TVスポットがたくさん流れていたけれど、河童のキャラクターはちょっと気持ち悪くて、あまり好きになれなかったから。

それでも見に行ったのは、この作品の舞台が「黒目川」と知ったためだ。黒目川・落合川は、お気に入りのポタリングの目的地でもある。きれいな湧き水もある。今年のはじめに亡くなった原作者は、東久留米市在住だったという。

それなら、見てみようかな。

というわけで、見てきたのだった。


見覚えのある背景がたくさん出てきて、「ほぼ地元民」としてはかなり楽しめた。まず、主人公の小学生・上原康一がクゥの化石(?)を拾うところが黒目川の河原。犬を散歩させる場所が「遺跡公園」。ということは、上原家があるのは、黒目川から坂を登っていったあたりの「東久留米市小山」付近かな。クゥをリュックに入れて連れていったところが、南沢湧水地。西武池袋線の高架下や東久留米駅、清瀬駅など、おなじみの場所もたくさん出てくる。

そのうち、自転車で「ロケ地探訪」をやってもいいけれど、特に目新しい場所がないので面白みがないかも。すでに多くのファンの人が実際にやっているみたいだし。ともかく、「となりのトトロ」と並んで、こうした「地元作品」が増えるのはうれしいことだ(なんだか「地元」の範囲が広いような気もするけど(笑))。

最初はグロテスクに感じていたクゥの造形も、物語が進むにつれて気にならなくなり、逆に「かわいい」とさえ思うようになった。この作品では子役を声優として起用しているのだが、とてもいい味を出している。昔気質の日本人そのままのしゃべり方をするクゥは当たり役だし、康一の生意気な妹・瞳役もとてもよかった。


物語の前半は、康一がクゥを見つけて友達になり、河童の仲間を探して遠野へ行くところまで。河童という異界の生き物を迎える上原家の人々の反応、河童の生態、小学生の康一の初めてのひとり旅(クゥが一緒だったけど)……と、ひと夏の冒険がいきいきと描かれていく。

ところが後半に入ると物語のトーンは一転する。クゥの存在がマスコミの知るところとなり、上原家には連日カメラが押しかけるようになる。報道に名を借りた好奇心という暴力にさらされるクゥたち。引きこもり続けるわけにもいかず、ついにワイドショーへの出演を決意するのだが……。

なんというのかな、「容赦ない映画」というのが第一印象。異界の生物との心温まる交流を描いただけの物語ではないのだ。携帯電話のカメラを片手に襲いかかる群集はゾンビのようだし、そもそも映画の冒頭の場面もかなりキツい。自然保護はもちろんだが、イジメ問題にも正面から取り組んでいて、容易に回答の得られるテーマではないだけに、見終わった者の心にズシンとした問いかけを残す(と、そう重くとらえてしまうのは大人だからであって、子どもが見れば河童のアニメという印象しか残らないかも)。


監督は、劇場版「クレヨンしんちゃん」シリーズの「嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲」「嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦」で高い評価を受けた、原恵一。本作での上原家の家族構成が、数年後のリアルな野原家という感じなのも興味深い。

130分という上映時間は、この手の作品としては長いし、ちょっと冗長に感じる部分もあった。もっと削ってコンパクトにしたほうがよかったのではないかと思う。だが、実際にはコンテは3時間分あって、作業はかなり進んでいたようだ。リクエストが多ければ、ディレクターズカット版の可能性もあるのかも!?


個人的に疑問を抱いた箇所もあったので、「原恵一と「河童」の長い旅河童のクゥと夏休み公式ガイドブック」の監督ロングインタビューも読んでみた。監督の意図とポリシーがきちんとわかったので、読んでよかったと思う(ちょっと高いけどね)。


1学期の終業式に始まり、夏休みとともに終わる物語。初夏から晩夏へと移り変わっていく風景はとても印象的だった。ミンミンゼミがツクツクボウシになり、赤トンボが飛び始めたり……。こういう細かい演出はとても好き。季節を感じながらじっくり見られるアニメーション映画は少ないだけに、本当に貴重。本作がヒットしたかどうかは知らないけれど、このような作品がつくりつづけられるような環境は残していかなくてはならないと思う。

そうそう、主人公の康一君は、小学生なのにルールを守ってちゃんと自転車に乗っていたのでエラいぞ! 「時かけ」の整備不良自転車とは大違いだ(笑)。



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コメント

こんばんは。
この映画、実は気になってました (^^)
成程、結構奥の深い?ストーリーなんですね?
しかも、ご近所だし。 ってちょっと遠い(笑)

「時かけ」も結構好きです (笑)

投稿: keith | 2007/08/15 22:53

keithさん、コメントありがとうございます。

黒目川&落合川はのんびりポタには最適ですので、ぜひ一度いらしてくださいね! 「クゥ」はけっこう一筋縄ではいかない映画でした。見ておく価値はあるかも。

投稿: つぴぃ | 2007/08/16 00:38

田無のシンエイ動画のビルにポスターが貼ってあったので、気になっていました。
クゥは、黒目川に棲んでいたんですね。

投稿: たまっこ | 2007/08/16 09:16

たまっこさん、コメントありがとうございます。

物語上は、江戸時代にはあのあたりに竜神沼(だったかな)という沼があって、そこにクゥが住んでいたようです。実際に沼があったかどうかは知りませんが。

この映画、私は最寄の西武線の駅に貼ってあるポスターで知りました(それ以前からTVスポットで知っていましたが、見たいとは思わなかった)。黒目川の上を通る西武線の背景画を見たもので……。

投稿: つぴぃ | 2007/08/16 09:50

私も最初はあまり気にしていなかったのですが、ポスターなどで黒目川辺りの風景があり、あまりにもそのままの風景なので気になりだしました。
ぜひ劇場で見たいと思いましたが、このところ雑用が多く見る機会を逸しています。
最悪DVD発売を待つことになるかも。

投稿: aki | 2007/08/18 18:19

akiさん、コメントありがとうございます。

黒目川付近の風景を知っている人にとっては楽しい映画だと思います。お忙しいと思いますが、何らかの形でぜひご覧になってみてくださいませ。

投稿: つぴぃ | 2007/08/18 23:01

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