君は福田健二を覚えているか
「RUN 流浪のストライカー 福田健二の闘い」を読んだ。
本屋でたまたま見つけて、目次を見た瞬間に購入を即決。Numberに載った「遺書」と、その後の話だということがわかったからだ。
福田健二は東京に在籍していた選手だが、彼のことを気にかけるようになったのは退団して海外に行ってからだ。動いている映像を見たのは、たぶんリベルタドーレス杯での試合。東京にいた時よりも、ずっと輝いて走り回っていた。たぶん彼には海外でプレーするほうが合っているのだろう。映像を見ていて、そう思ったのを覚えている。
Numberで「遺書」を読んだのは、それよりも後のこと。彼がなぜあえて厳しい状況に身を置いてまでサッカーを続けたいと渇望するのか、その理由がわかったような気がした。東京時代の福田健二は、たぶん本当の彼自身ではなかったのだろう。
本書はその「遺書」から始まり、2005年から現在までの軌跡と、海外に活躍の場を求めるまでの葛藤の日々を中心に描かれている。もちろん、東京時代のエピソードもある。長沢徹コーチのコメントもある。
「俺はチームが一体になって、死ぬ気で戦うサッカーがしたい」(P.97)
東京でくすぶっていたころ、福田はこう考えていたという。確かに、東京はそんな彼にはまったく向いていないクラブだ(残念ながら)。不器用ながらもがむしゃらにサッカーを追い求めていくその精神が少しでも東京にもあれば、このクラブは今ほど低迷はしていなかったかもしれない(私も、チームが一体になって、死ぬ気で戦うサッカーが見たいよ。毎週はムリかもしれないけど、せめてチームが一体ではいてほしい)。
もちろん、海外へ行ったからといって、毎週そんな試合ができるわけではない。ヌマンシアではクラブの昇格を目標に頑張ったが、クラブ関係者から「本気で昇格を狙っているわけではない」と明かされて愕然としたりもする。戦える場を求めて、彼の流浪の旅は今も続いているのだ。
今年はラス・パルマスへ移籍したが、現在は負傷中な上、チームも低迷。相変わらず、後戻りできない状況の中でサッカーをしているようだ。でも、彼ほどの男ならば、どんな逆境であっても味方につけて、はねかえしてしまうような気がする。だからこそ、彼には極限まで海外でプレーを続けてもらいたい。
東京には決していい思い出ばかりがあるわけではないだろうが、以前見たドキュメンタリーでは「FC東京のことは気になるし応援している」と言っていた福田健二。在籍期間も短く、ゴールも少なかったから、客観的に見たら「ダメFW」だったのかもしれない。だけど、あの浦和戦での溝落ちゴールで、彼は東京サポの記憶に残る選手となった。いつか、彼が選手を続けられなくなったときがきたら、何かの形でもう一度再会できるといいと思う。彼のもつ一途な熱さは、東京にいちばん必要なもののような気がするから。
この本のもうひとつのテーマは「家族」。家族を失うところからサッカー人生をスタートさせた福田が、どのようにして家族を築き、その家族に支えられてサッカーを続けていくのか。その過程は感動的ですらある。それにしても、澄代夫人は本当にスゴい! 彼女がいるからこそ、今の福田があるのだろうね……。
読みながらも、自然と心が熱くなってくる本。オフシーズンの読書におススメ!
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以下は断片的感想。
福田はずっと日記を書いているそうだが、その中身は「自分はできるんだ!」と信じ込ませるような内容がほとんどだという。で、そうやって書くと、それが本当に現実になることが多いらしい。うーむ、やっぱり信じるところから第一歩が始まるんだね。私もブログで「東京はよみがえる!」とたくさん書こうかな(笑)。でも、その日記帳を「デスノート」と呼んでいる福田家って、ちょっとユニークかも。
「悩んでいるときに長沢コーチのおかげで乗り切れた」。そう語る東京の選手のインタビューを、一体いくつ読んできただろうか。その長沢さんが、来年はいなくなるらしい(正式発表はまだだけど)。選手のメンタルをフォローし続けてくれた人が、クラブを去ってしまうのは、とても残念だし、不安でもある。
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