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2007/12/20

「病とフットボール」

高原直泰の「病とフットボール エコノミークラス症候群との闘い」を読んだ。

高原選手が語りおろした内容をまとめた形の本。語り口は平易で、170ページほどの新書(角川SSC新書)だからすぐに読み終わることができるのだが、中身はなかなか濃くていろいろ考えさせられる。

全7章からなるこの本のテーマは大きく3つ。「エコノミークラス症候群の発症と治療」「高原選手のサッカー人生(過去から現在まで)」「日本代表について」だ。

一読して感じたのは、高原選手の常に前向きな姿勢。彼は病気のために02年W杯には出場できなかったのだが、それについても「未練はなかった」と言い切る。「もしあのときこうしていたら」と後悔するのは好きではないので、常に新たな目標を定めてそれに向かって進むのだという。02年W杯時点での目標は「海外移籍」。W杯出場ができなかったからこそ、その後がむしゃらに頑張って、今のドイツで活躍する自分があるというのだ。

ひたすら前だけを見据える高原選手の生き方は、この本を通じてひしひしと伝わってくる。エコノミークラス症候群が慢性病だとは知らなかったので、彼が抱えるリスクを知って少し驚いてしまった。飛行機に乗るときは自分で注射を打ち、薬も手放せず、再び再発することがあれば引退を決意している。「サッカーは俺のすべて」と思うからこそ、そんな生活を続けていけるのだろう。

とはいえ、この本は「闘病記」という感じではなく、明るくてポジティブな雰囲気に満ちている。章の終わりでは彼自身がランス・アームストロングにも言及しているが、彼にもランスと同じような強さがあるのだろうと思う。慢性病を抱える人にとっては、勇気付けられる本だ。

後半の、現日本代表についての記述も興味深い。オシム監督とのエピソードや、アジアカップの結果を受けての分析など、その場にいた選手ならではの内容になっている。病に倒れたオシムさんへのメッセージも入っているので、実にタイムリー。

TVのインタビュー番組などでは寡黙な印象がある高原選手だけに、本を出すとはちょっと意外な気もしたが、読んでみれば、彼でなければ書けない(語れない)内容だっただけに納得。ちなみに、構成は木崎伸也。選手とライターの信頼関係も感じられる、いい本だと思う。


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