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2008/01/13

「ペダリスト宣言!」

新書の自転車本紹介シリーズ。今回は、斉藤純の「ペダリスト宣言! 40歳からの自転車快楽主義」だ。

著者の斉藤純は、「銀輪の覇者」を書いた人だ。これはもう、自転車小説オールタイムベストともいえるすばらしい小説で、冒険小説としてもトップ10に入れたくなる名作。単行本で出たときに買って読んだのだが、文庫になってからまた買ってしまったくらいおススメの本なのだ。

そんな偉大なる小説の著者が書いた自転車本なのでかなり期待して読み始めたのだが、意外と無難な内容に収まっていたのは残念というか、新書というスタイルの宿命だから仕方がないというのか……。

著者は、ある目的意識をもった自転車乗りを「ペダリスト」と名づける。自転車に乗りながら自分自身を発見し、自分が社会(地球)の一員であることを認識していくのがペダリストだという。考えて行動する自転車乗りということで、サブタイトルにある「自転車快楽主義」とは正反対のような気もするけど(快楽というよりは、すごくストイックなイメージがあるからね)、サブタイトルは編集部で勝手につけたものかもしれないからね……。

個人的におもしろかったのは、第三章の自転車レースの歴史に関する部分。なぜならこれが「銀輪の覇者」に直結する部分だからだ。今の日本ではさまざまな制約があってなかなかプロ選手による大規模自転車ロードレースはできないのが現状だけれど、明治・大正期には普通に行なわれていて、しかも大変に人気があったというのだ。うーむ、できればこの話題だけで一冊費やされた本を読んでみたいなあ。

本の前半は、いわば「自転車生活入門」的な内容(平易なことばで書かれていてわかりやすい)、間に自転車の歴史をはさんで、後半は地球環境問題への言及が多くなる。排気ガスを出さない自転車生活をすることは、すなわち地球にやさしく生きることと同義なのだ。

ところで、私自身は「地球にやさしい」「地球を救う」といった表現はまったく好きではなく、そういう文言を聞くたびに、「それは地球じゃなくて人類を救えってことだろ!」と突っ込みたくなってしまう。人間の活動によって結果的に人類が滅んだとしても地球はまだしばらくは存在し続けるだろうから、「地球を救う」という表現そのものに人類の欺瞞を感じてしまうのだ。もちろん、人間が生きていける地球環境を守ることはすごく重要だとは思うけどね。

こういうヒネクレ者なので、たぶん私は「ペダリスト」にはなれないだろう。地球環境のために自転車に乗っているのではなく、好きだから漕いでいるだけだし、せっかく落ちた体重と良くなった体調を維持するために続けているにすぎないから。とはいえ、自転車を始める理由は人それぞれだから、私がとやかく言うことではない。こういう自転車主義もあるということを知っただけでも、この本を読む価値があったと思う。

もし未読でしたら、まずはぜひ「銀輪の覇者」を! 
これだけは強くおススメしたいなあ。



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コメント

こんばんは
私も故あって明治ごろの自転車(競技)の事などを調べようとした事がありますが、それに関する本があったら嬉しいですが見あたらないですね。

自転車文化センターの図書室に資料を探しに行った時、蔵書に明治時代の自転車雑誌のコピーがあり、当時盛んに行われていた上野 不忍池周回レースのレポート記事が載っていて興味深く読みました。

時代は下って昭和の戦争前後の自転車競技についてなら、加藤一著 風に描く 文藝春秋社 の中に、実際に走った人の立場から書かれた文章があって、その中に終戦直後に東海道を走破したロードレースの話もありますよ。 
ちなみに怖い話を書いている同姓同名で別人の加藤一もいるようです。

投稿: 山猫の店主 | 2008/01/14 00:15

山猫の店主さま、コメントありがとうございます。

自転車文化センター、実はまだ行ったことがありません(恥ずかしながら)。本などの資料もあるのですね。今度行ってみることにします。明治・大正期の自転車レースブームがまた訪れたりしたら楽しいでしょうね。いろいろ越えなければならないハードルが多すぎですが……。

投稿: つぴぃ | 2008/01/14 17:43

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