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2008/04/08

「着ぐるみマスコットぞろぞろ!」

しばらく前に読んだ本だけど、いい機会なのでレビューしておくことにする。
着ぐるみマスコットぞろぞろ! in英国フットボール 着ぐるみが見せてくれる素顔の英国フットボール」だ(タイトル長い~!)

Th160_477412835xタイトル通り、英国のフットボールクラブのマスコットキャラを、イラストと写真で紹介した本。オールカラーで、実に凝ったつくりになっていて、ページをめくっているだけで楽しくなってくる。

クラブをアルファベット順に並べ、そのクラブのマスコットを紹介していくという構成。登場するクラブは50近く、マスコットの数はそれ以上だ。プレミアシップだけでなく、さまざまなカテゴリーのクラブのマスコットを分け隔てなく登場させているところがいい(出版の段階で、どのカテゴリーに属しているチームなのかが書いてあるともっと良かったかも。あと、全クラブのエンブレム(クレスト)も見たかった)。オールカラーという特徴を生かして、そのクラブのチームカラーでページを彩っていたりするところもいい。

わがクラブもいよいよマスコットを誕生させるということで公式サイトではアンケートを行なっているけれど、少しでもマスコットに興味のある人にはぜひ読んでおいてもらいたい一冊だ。「東京にはマスコットなんていらねーよ!」と思っている人にも、ぜひ。

この本に登場するマスコットたちは、決してかわいくも愛らしくも強そうでもない……というか、はっきりいってブキミなものばかりだ。私も今はいいトシした大人だから楽しんで見られるけど、もし子供だったら、ヤツらが寄ってきたら泣くか逃げるかしたんじゃないかと思う。

出来の良い着ぐるみを見慣れた日本人にとっては、別世界ともいえる造形の悪さだし、宇宙人とかエビとかウナギとか、「なんでこんなのがマスコットになるわけ?」というような着ぐるみも少なくない(表紙絵のいちばん左がエビの「サミー・ザ・シュリンプ」。最初、三日月かと思ってた)。「マスコットぞろぞろ」というよりは「オール怪人大進撃」といったところだ。

それでも、彼らはクラブのサポーターにはものすごく愛されている。チャリティイベントに出席し、敗戦が続くチームのサポーターを慰め、鼓舞し、笑わせ、子供たちを喜ばせ、サポーターの個人的なイベントに出席し、時には新聞ネタにもなったりする。資金のないクラブにとっては、着ぐるみの盗難や破損は死活問題だけれど、そのたびにサポーターや誰かが援助を申し出て、マスコットたちはなんとか生き長らえている。マスコットは明らかにクラブの一員なのだ。

東京の試合でも、さまざまな着ぐるみが観客を迎えてくれる企画が行なわれている。だけど、彼らはしょせん「外様」である。仕事が終われば去っていく、一時的なキャラでしかない。われわれにもそろそろ、「クラブの一員」といえるマスコットがいてもいいのではないだろうか。デザインを心配する人は多いし、過去のわがクラブのナイスなセンス(笑)を考えると、私ももちろん不安だ(笑)。でも、この本の中にこんな記述がある。


どんなに着ぐるみのデザインが優れていようとも、スタジアムでファンに愛される存在でなければまるで意味がないのだ。「デザインの良し悪し」がマスコットの魅力に占めるパーセンテージは大きくはない。マスコットの魅力は、中に入る人の魅力で決まるといっても過言ではないのだ!(P.115)


そんな意味で、巻末の「中の人インタビュー」はとても興味深い。さまざまな職業、年齢、性別の人が、中の人としてマスコットを輝かせている。共通しているのは、クラブへの愛と、自分たちの仕事に誇りをもって、マスコットの性格を熟知して役割を務めていること。彼らに会うためにスタジアムへ足を運ぶ人だって、きっと少なくないだろう。

東京のマスコットがどんな外見になるのかはわからないけれど、地域のイベントやサポーターの集まりにも気軽に来てくれるような、フットワークの軽いキャラクターになってくれるといいと思う。サポーターの冠婚葬祭とかね。私の個人的イベントといえばもう葬式くらいしか残されていないから、マスコットは呼べないかもしれないけど(笑)。

もうひとつ、東京のマスコットに求めたいのは身軽さ。サッカークラブのマスコットなんだから、最低限PKくらいは蹴ってもらわないと。英国のマスコット・グランド・ナショナルじゃないけど、オールスターではマスコットが勢ぞろいしたイベントもあるのだから、ちゃんと動けないと話にならない。選手とハイタッチするとか、試合中にゴールが決まったらピッチサイドで喜ぶとか、もしかわいくなくても動きでカバーできるだろうし。

とにかく、この本を読めば「どんなキャラが来ても、外見はコイツらよりはマシに違いない」と広い心で何ごとも受け止められるような気持ちになれるはず(笑)。あるいは、ノッツ・カウンティのマスコットみたいに「英国一醜いマスコット賞」を目指すという手もあるかもしれないし(笑)。ともかく、マスコットの性格付けは、だんだんとできてくればいいんだし、きっと「案ずるより産むが易し」ですよ。



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コメント

私個人は、東京にマスコットは不要だと思っています。でも、多くのサポーターが賛同するなら、特に反対をするものではありません。

ただ、子供に媚たようなデザインはイヤですね。やはり東京らしく、クールなデザインを期待します。

投稿: コタツねこ | 2008/04/09 08:34

コタツねこさん、コメントありがとうございます。

とりあえずはアンケートに参加しないといけませんね。私も早いとこ書かないと。

投稿: つぴぃ | 2008/04/09 14:22

ほぉぉーーーーさすがイングランドの方がいうことはうんちくがある
デザインより中に入る人の魅力が大事とは目から鱗が落ちるようなお言葉だなぁ
つぴぃさん、こういうお話はクラブ宛のメールで送ったほうがいいように思うなぁ(むろんクラブ関係者もいろいろ研究をしてはいるだろうと思うが・・・)

実のところお子様たちやご婦人方にも人気がでるキャラクターだと、とても助かる
家族にとんでもなく迷惑というか呆れられている身としては、少しでも点数稼ぎをしたい心情があり、そういう手助けをしてもらえるキャラクターであれば素晴らしい
サッカーは嫌いでもキャラクターはいいということになれば、お土産もできるし、将来の孫にもスタジアムに連れていける口実になる。
まったく姑息な動機でお恥ずかしい限りだが、人生には様々な壁があり七転八倒しながらスタジアムにいく日々を思えば、素晴らしいキャラクターがいることが小さな幸せにつながる気がする。
ちなみに僕の家族は猫好きなので愛くるしいネコ系をお願いした。

こういう自分勝手な考えはサポーターの一人として恥ずべきことなのかもしれないが、なんとも「FC東京家庭不和対策」の手立てになるような気がするんだなぁ・・・・

投稿: 東京坊主 | 2008/04/09 20:24

東京坊主さん、コメントありがとうございます。

えー、「FC東京家庭不和」なんですかー。ご家族がスタジアムに付き合ってくれたとしても、たぶんゴール裏はやめたほうが良さそうですし、いろいろ大変なんですね。

本の著者は英国在住の日本人なのですが、「中の人が大事」という指摘には目からウロコでした。東京の新マスコットの中の人にも期待したいところです~。

投稿: つぴぃ | 2008/04/10 14:04

マスコットはやっぱりいたほうが、とくにお子様にとってはとっつきやすくなると思います。うちの息子、とうとう、三月で、自分でやるサッカーはやめてしまいましたが、幼稚園サッカー大会でふろん太が来てくれたことはおぼえているようです。coldsweats01

投稿: MIKA | 2008/04/11 09:53

MIKAさん、コメントありがとうございます。

ふろん太くんがイルカだと知ったのはわりと最近なのですが、もうすっかり慣れました(笑)。東京サポには「マスコット不要論」がけっこう根強かったりするのですが、私は「欲しい派」でしたので素直にうれしいです。ま、きっとかわいくないのができるんでしょうけど……。

投稿: つぴぃ | 2008/04/11 11:03

こんにちは。はじめまして。
このエントリーにトラックバックをさせていただきたいのですが、トラックバック用のURLがわからず....。普通にリンクさせていただきました!
http://dillo.sblo.jp/article/14054383.html
作るなら、粋で気の利いた着ぐるみを作ってください!FC東京さん!

投稿: dillo | 2008/04/15 15:16

dilloさん、はじめまして! ……著者様ご本人からコメントをいただくなんてまったく考えてみたこともなく、本当に光栄です。ありがとうございます!

やがて誕生するFC東京のマスコットに対してはずっと「不安」が先立っていたのですが(エンブレムやグッズなど、イマイチなデザインばかりですので)、この本のおかげで「期待」になりました。

「中の人」がチームを愛しているのならば、きっと私らもマスコットを愛せるはずだと思えるようになりましたので。今まではかわいくないとイヤだとか、まぁいろいろゴネていたんですが、なんだか達観できたような!?

東京のマスコットに興味をもってくださってありがとうございます。お披露目は来年になるようですが、それまで生暖かく見守ってやってください。御本のほうも、第2弾(あるいはまったく違うテーマで!?)を楽しみにしています。

トラックバックはメーワクなものばかりで困っていましたので、今は受け付けない設定にしてしまったのです。申し訳ありません。

投稿: つぴぃ | 2008/04/15 20:24

こちらこそ「へっぽこ」な本を丁寧に読んで頂けて本当に感激です。

 日本は世界的に見ても珍しい「大人もキャラ物好き」な文化を持っているため、ついつい外見(見た目のデザイン)にとらわれがちですが、ことフットボールにおいてのマスコットは「見た目より中身!」だ!と思ってます。子供は大人が思う程は美醜を気にしてませんから。(着ぐるみの地域でのクラブ普及活動の多くは子供がターゲットですから、まず存在の軸足は子供対象に置いていいのではないでしょうか。)

 どうもJリーグのマスコットは「クラブの販促物のひとつ」から脱しきれていないため、それを見て「マスコットってあんなもんだろ、だったらいらないや」と思われてる方も多いでしょうね。残念です。

 いままでの「Jリーグの着ぐるみマスコット」の観念をひっくり返す様なマスコットを期待してます。

(大分も募集締め切りから登場まで半年以上かけて練っていたので「これは!」と楽しみにしていました。出て来たときはビックリさせて頂きました。期待していたのとは別の方向で…。)

投稿: dillo | 2008/04/15 22:57

dilloさま、たびたびコメントありがとうございます。

> どうもJリーグのマスコットは「クラブの販促物のひとつ」から
> 脱しきれていないため、それを見て「マスコットってあんなもんだろ、
> だったらいらないや」と思われてる方も多いでしょうね。

ホント、おっしゃるとおりですね。どこぞのイベントのマスコットと違って、一生お付き合いしていくキャラクターですし、グッズを売るためにマスコットをつくるわけではないということを考えておいてほしいものです。

ご期待に沿えるようなマスコットはたぶん誕生しないでしょうが(本当にあてにしていないのです(笑))、時間をかけて、われわれサポーターが育てていく形になれればいいとも思っています。「出来の悪い子ほどかわいい」とも言いますし、そのくらいの達観が必要かと。

*コメントをいただいたのがうれしくて、ネタにしてしまいました。すみません!

投稿: つぴぃ | 2008/04/16 02:37

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