2009/01/30

「オレンジの呪縛」を読む

少し前に、「オレンジの呪縛 -オランダ代表はなぜ勝てないか?」を読みました。


オビにいわく、

なぜオランダの選手、監督、協会は、ピッチ外のことで力を使い果たしてしまうのか?
なぜオランダ人は、成功につながらないことが明らかなのに、間違った監督を選ぶのか?
なぜオランダ人は、絶対に蹴らせてはいけない選手にPKを任せるのか?
なぜオランダ代表は、格下相手に気を抜いたプレーをしてしまうのか?
なぜオランダ人は、何も問題が起きないとかえって不安になり、わざわざトラブルを作り出すのか?
そしてなぜオランダ人は、これらの問題について、自ら考えることをしないのか?――


……こう書いてあれば、「そうそう、私もそう思ってたんだよ! どうしてなんだろう?」と思うじゃないですか。そこで、その答えを見つけるべく読んでみたのです。さて、同じように感じている皆さまのために、太っ腹の当ブログはこの本を読んで得られた回答をお知らせしちゃいましょう。それは……

「オランダ人だからです」

えーっ!? ハードカバー381ページ、1995円かけて読んで、それかよ~!?(ズルッ)

誤解のないように申し上げれば、本はとてもおもしろく刺激的で、初めて知ることがたくさんありました。ただ、オビにあるような「サッカー論」として読むと、もしかしたら肩透かしをくらってしまうかもしれません。これは、英国人ジャーナリストが膨大なる取材によって明らかにした、フットボールという切り口から見た「オランダ論」なのですね。

狭い国土に低い土地という特有の地形や、その歴史はオランダフットボールに何をもたらしたのか、W杯やユーロでの惜しい敗戦をオランダ人たちはどう見ていたのかといったことが、選手や監督自身、オランダ人著名アーティストや評論家などへのインタビューから明らかになっていきます。

確かに「オランダ代表の敗退」の要因は、まさに彼らがオランダ人であるがゆえなのですが、その奥には何があるのかを深く探っていく過程に、この本の真骨頂があるのです。日本語版タイトルとオビの惹句に関しては「中身と合ってないじゃん」と文句をつけるか、「中身とかなり違うけど、うまいことつけたものだな」と感心するか、それは人それぞれだと思いますが。

それにしても改めて思い知らされるのは、ヨハン・クライフという選手の偉大さ。オランダサッカー界にあっては、まさに「紀元前」(B.C.=ビフォア・クライフ)とそれ以降くらいに違うといっていいのでしょう。私はリアルタイムで彼の活躍を見ていなかったので何とも歯がゆいのですが、終章にあるように、今もなお大きな影響力をもつクライフが亡くなった後にオランダサッカーがどうなっていくのか、それがものすごく気になってしまいます。

サッカーというスポーツを切り口にしてオランダという国やオランダ人について掘り下げていくのが本書なのですが、はたして日本でこんな本が生まれる可能性があるのでしょうか。

その昔、野球を切り口に日本人論を展開した「菊とバット」(ロバート・ホワイティング著)が発表されたことがありましたが、サッカー版のこうした本はまだ発表されていません。そういう本が登場するころに初めて、サッカーは日本に根付いたといえるようになるのかも……。ジェレミー・ウォーカーさんあたりが出してくれないかな。

(検索してみると、「菊とバット」は最新情報を盛り込んだ完全版が出ているようですね。読んだのがあまりに昔なので、再読してみるとおもしろいかも)。


 

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2009/01/18

「檜原村紀聞」

読んでみたかった「檜原村紀聞」(瓜生卓造・著/平凡社ライブラリー)をようやく読むことができました。

自転車生活を始めたころははるか遠くに思えた五日市方面も、最近はだいぶ身近になってきました。ところが、その先の檜原村へはまだ3回ほどしか行ったことがなく、東京都の西端・奥多摩町には今でもたどり着けないありさま。そんな私にとって、檜原村は今でもちょっとした「憧れの地」なのでした。

この本に出会ったのは、いつも寄らせていただいている「山猫亭」の本棚。最初の数ページをぱらぱらと見て、「これは絶対全部読みたい!」と探したものの、どうやら絶版になっている様子。最終的にはAmazonのマーケットプレイスで入手することができました(便利な世の中になったものです)。

この本が最初に刊行されたのは昭和52年。著者は檜原村に魅せられ、足しげく通って地元の人の話を聞きながらこの本を書き上げたようです。ここに描かれている檜原村はもう30年以上も前の姿ですが、地図を見ながら読むうちに、ゆっくりと村のあちこちを訪ねてみたいという気持ちになってきます。

最初に檜原村に興味をもったのは、都民の森まで自転車で行ったときのこと。延々と続く登り坂にうんざりしながら漕ぐうちに目に入った道路標識の文字は「人里」。なるほど、こんなド田舎でも人が住んでいるから「人里」なのね~などと思ったりもしたのですが、その下のローマ字は「HENBORI」。どう読んだら「人里」が「へんぼり」になるの!?と激しくギモンに感じたのが始まりでした。

この「人里」以外にも、檜原村には変わった地名がいくつもあります。「笛吹」は「うずしき」だし、「神戸岩」が「かのといわ」なのも、「払沢の滝」が「ほっさわのたき」なのもなんだか不思議。この本を読むことで、こういった地名の由来を知ることができるかも!?と思ったことも、読んだ理由のひとつでした。

結論からいえば、地名の由来を正確には知ることはできませんでした。が、さまざまな説を知ることができ、逆に檜原村の奥深さを知ったような気分。また、檜原村のことだけではなく、民俗学的な意味での知識を多数得ることができたのも収穫でした。

自分の本の場合、気になる事柄が書いてあるページの隅を折りながら読むのがクセなのですが、やたらと折り返しがついてしまったのがこの本。ことあるごとに読み返しながら、今後のポタの糧にしていくことになりそうです。自転車生活をしていなかったら、たぶん一生読まなかっただろうと思うと、ちょっと不思議。今後もこういう本との出会いがたくさんあるのかもしれません。

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2009/01/15

ダンシングを学ぶ

ダンシングを覚えて もう1回チャレンジしに来い!

弱虫ペダル」第4巻発売記念!……というわけではありませんが、先日、ダンシングを教えてもらってきました(あ、1行目は、第4巻の今泉君のセリフです)。

「え、ダンシングもできないのに和田峠とか行ってたの?」
などと言われてしまいそうですが、ええ、できませんとも。

じゃなくて、やろうと思えばできたんです。基本的に「立ち漕ぎ」みたいなものですから。ただ、それを登り坂で、ロードバイクでやれと言われても……。ロードバイクは軽すぎて、ダンシングをするとゆらゆらと不安定ですし、平地でママチャリでダンシングしてみると、10回くらいペダルを回すと疲れてしまいますし……(やっぱできないってことか(笑))。

「ダンシングができれば、もうちょっと登りがラクになるのにね」
とあちこちで言われた上に、正月2日はまたも百草園の坂で挫折。さすがに「ダンシングができれば百草園の坂も登れるようになるのかなー」と思うようになりました。

こうして一念発起して(笑)、とある晴れた冬の朝、自転車先輩のJさんにお願いして「ダンシング講座」をしてもらうことに(いつもありがとうございます)。場所は、坂にはこと欠かない多摩湖付近であります。

ダンシングは基本的に坂を登るためのものだと思い込んでいたのですが、姿勢を変えることで筋肉を休ませたり、止まっていた状態から加速させたり(信号あけなど)する際にも使えるのだそうです。もっとも、私がダンシングで「気分転換」できるようになるのはまだまだ先のことになりそうですが。

また、ダンシングというと、ハンドルに加重するというイメージが浮かびますが、これも大間違いであることも教わりました。これも、実際にやってみてナルホド~という感じ。

ダンシングではペダルに力が入るため、平地で使っていたギアのままでダンシングを始めると、ギアが軽すぎて走りづらかったり、バランスをとるのが難しかったりもします。ダンシングを始める前に、ギアを2段くらい重くしておくのがコツということも初めて知りました(「弱虫ペダル」4巻にもありますね!)。

何度か練習してから、「10%」標識のある坂を3回ほど往復してみました。なるほどー、座ったまま登るよりもラクだわ~。それに、怖いだろうと思いこんでいたけど、思ってたより怖くない(私の場合、この手の「思い込み」がすごく多いようです)。少なくとも、ダンシングでなければ、3往復はしたくない坂でしたし。

……これで、味スタ帰りの「二枚橋の坂」も楽勝だな(←ホントかよ)。

とりあえず基本的な部分は教わりましたので、今後はひたすら練習して慣れるしかありません。平地でも、ママチャリでも練習はできますので、これからは積極的にやってみようと思います。

「弱虫ペダル」の主人公君みたいに、登り坂が楽しく感じられるようになるといいな~。


最後に「第4巻」からステキなセリフをご紹介(一部カタカナなのは、外国人監督さんのセリフだから)。

自転車は 競技の道具デモありますが 本来は楽しいモノデス
 カコクさも困難も失敗も 自転車はゼンブ楽しサにかえてくれる
 まだ見たことのない道を 海を 山を 前に進むというスバラシサを



↑相変らず面白いッス!

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2009/01/10

ポタネタ本いろいろ

今回は、日々のポタリングのネタ本をいくつかご紹介します。

目的地を決める際には、ネットの情報も頼りになりますが、本を参考にすることもあります。道路地図をながめていて、「ここは何?」と目にとまった場所に行くことも。本の情報は最新とはいえませんが、ネタに困ったときにはとても助かります。

最近は「自転車散歩」をテーマにした本もたくさん出ていますが、ポタ歴5年以上ともなるともっとマニアックな方向を追求したくなるもの。いつしか歴史、神社仏閣、日帰り温泉、食べ歩き、花見物など、専門分野(笑)ごとに本をそろえるようになってしまいました。


トトロのふるさと 狭山丘陵見て歩き」は、2003年版を重宝させていただいたのですが、このたび最新版が発売されました。ページもフルカラーになってより見やすくなり、ついついまた購入。

本に載っているコースは必ずしも自転車向きとは限りませんが、この周辺は道路地図を見てもよくわからないのでとても参考になるのではないかと思います。時にはMTBで、時には自転車を押しながら散策してみるのもいいのではないでしょうか。

むさしの城跡ウォーキング」は、多摩・埼玉地区の城跡を中心に紹介している本。滝山城や八王子城といった有名どころはもちろん、実際に行ってみると「どこが城跡?」と思ってしまうようなところも網羅しています。

先日行った「弁天山」近くの「網代城跡」や、桜を見に行った光厳寺のすぐそばにある「戸倉城跡」なども載っていて、ポタの予習&復習にも役立つのがうれしいかな。

多摩地区はそれほどメジャーではないので、地方出版社の本も参考にしています。「けやき出版」の本は、いつのまにかたくさん本棚に並ぶようになりました。お気に入りの立川の「オリオン書房ノルテ店」には地元本のコーナーもありますし、ときどき絶版本のフェアもやっているので、ここでコレクションを増やすことが多いかな。

こうした本を手がかりにして、日々ポタリングに励んでいるのでありました。


  

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2008/10/04

「ビバ・イル・チクリッシモ!」

大友克洋&寺田克也の「ビバ・イル・チクリッシモ!」を買ってしまいました。

515mzzartrl_sl500_aa240_「買ってしまいました」というのは、購入にいたるまでにしばし迷ったから。なんといっても、税込み6090円というのは本としては高価なのであります。しかも、書店で実物を手にとってはみたものの、シュリンクされていて中を見ることができな~い! でも、神レベルの絵を描くこのお2人の自転車本であれば間違いはないだろうと、えいやっと「ポチ」っとしたわけです(笑)。で、実際に届いて中身を見たところ……これは正解でした!

Amazonの紹介ページを見てもよくわからないと思うので補足をしておきます。この商品の構成は「2分冊+おまけのサコッシュ」。サコッシュの大きさは、自転車雑誌一冊を入れるのが精一杯という程度なのであまり収納力はありませんが、出先でおみやげにお菓子を買って帰るくらいには役立ちそう。

本のほうは、大友さん&寺田さんが昨年のジロ・デ・イタリア観戦にでかけたときの描き下ろしレポート本(フルカラーの素晴らしいイラスト多数&写真も)と、エッセイ本の2分冊。ジロ本のほうは、表4からも読める「両A面」構成で、大友パート、寺田パートと分けて鑑賞することができるようになっています。自転車パーツをちりばめた女神と悪魔が表紙になったイラストは特にステキ。

エッセイは、大友さんたちがつくった自転車チーム「クラブ・パンターニ」のメンバーが交代で書いた(&描いた)もので、電撃アニメーションマガジンに連載されていた「カーボンハート」と、monoマガジンに連載されていた「おしゃれハンドル」を一挙収録したもの。こんなエッセイの存在すらも知らなかったので、連載再録とは思えないイラストの質の高さには圧倒されちゃいました。

とにかく、「手にとって読め!」のひとことですかね。自転車への愛にあふれたお2人(&そのお仲間たちも)が自転車を描くと、こんなにも密度の濃い絵になるのだということに驚かされます。絵のもつ圧倒的な説得力に、われわれ凡人はただただひれ伏すしかありません。エッセイの内容は本当に身近なことばかりで「うんうん」とにこやかに読むことができるのですが、とにかく絵ぢからがスゴすぎる!

こんな贅沢な豪華本の出版が可能になったのも、おそらく大友克洋というビッグネームがあったればこそ。アニメ業界には自転車愛好家のクリエイターさんがたくさんいますが、大友さんほどの知名度がないとなかなかこういった強気の価格設定の本は出せなかったことでしょう。限定版ということもあり、まさに「愛蔵本」。

こうなると、最後の大物の自転車愛好家……宮崎駿御大の自転車本も読んでみたくなるなあ。ぜひどこかの出版社さん、お願いしますよ~。


↑「買ってよかった」一冊でした

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2008/09/20

「道草料理入門」

お気に入りのジュンク堂をふらふらしていて、「道草料理入門-野山は自然の菜園だ」を衝動買いしてしまいました。

ページをめくってみて、「おなじみの草で、こんなに食べられるものがあったのか!」とビックリ。ヨモギやノビルあたりは知っていましたし、毎年ニセアカシアのてんぷらを楽しみにしているのですが、こんなにもおなじみの草花が食用になるとは。これはビックリ、目からウロコです。

今の季節でいえば、まったく食用っぽく見えないクズも食べられるとか。一瞬、「葛粉でしょ!?」と思ってしまったのですが、根から葛粉をつくるのは難しいのでシロートには薦められないとか(そりゃそうだ)。で、何を食べるかといえば、あのちょっと毒々しい色の花。確かに香りはいい(?)し、ニセアカシアみたいに食べられるのかも!?

もともと食い気だけは人一倍あったので、こういう本は楽しいですね。タンポポ(西洋タンポポもOK!)やハルジョオンなど、どこにでもある草も「春になったら食べてみようかな?」という気分になります。きれいな小花をゼリーなどにあしらうのも良さそう。

ひととおり料理法を読んでみて、困ったときは「おひたしか揚げ物だな」と気づきました。あまり奇をてらった料理法はなく、とにかくシンプルに素材を楽しむのがよさそうです。

基本的に野草の採取などはしないたちですが、どこにでもある草ならやってみてもいいかな。野草には毒のあるものも多いので(薬用植物園へ行くと「こんな草で殺せるのか!」と驚くことうけあいです(笑))注意が必要ですが、こういう本をたよりにおなじみの花たちを食で楽しんでみるのもいいかもしれません。


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2008/09/13

「パルちゃんとグランパスくんのほん。」

Jリーグ最強の2大マスコットの本が出ました。
その名も「パルちゃんとグランパスくんのほん。

51rssjbja5l_sl500_aa240_まったく買うつもりはなかったのですが、本屋でパラパラと中身を見てみたところ、爆笑だか失笑だか、ともかくひとりごとをいろいろ言いそうになったので、これはヤバいと思ってつい買ってきてしまったのです(笑)。お値段も1000円ですし、内容と価格のバランスはとれていると思います。

えーっと、その名の通りの写真本です。両者の共演(?)は、基本的に巻頭の「対談」(清水のレストランでロケ!)のみ。あとはそれぞれのページになっていて、ホームタウン案内、思い出写真館、静岡弁(名古屋弁)紹介とか、パルちゃん(パルもんた)の人生相談とか、グランパスくんが陸上に挑戦!とか、両者目当てにアウェイ遠征した身にとってはかなり楽しめる内容になっております(笑)。

中には、他チームのマスコットからのメッセージコーナーなんてのもあります。対談でも「他のクラブのマスコットとも全員仲がいい」なんて話をしていたりするわけですが、当然ながら東京だけ蚊帳の外……。あ、2人ともまだニータンには会ったことがないそうで、会ってみたいとかそういう話はしてましたね(あぁ、だんだん書いていて脱力してきた……)。

それにしても、毎回パルちゃんショーのネタを考えたり、ホームでファンのお出迎えをしたりと、マスコットの役割は本当に大きく、かつ重大なものなのだなーと再認識。ホント、半端に「着ぐるみが来て手を振ってりゃいいんでしょ」みたいな心構えでは、愛されるマスコットにはなりえませんね。

東京は最後発で、パルちゃん&グランパスくんのような成功例も、あるいはあまり成功していない例も見てきているわけですから、ここでズッコけたりすると他サポの皆さんから相当物笑いの対象になるのではないかと思います。前例を参考にしたうえで、どんなマスコットにすれば愛されるのか、クラブをともに盛り上げていくことができるのか、よく考えてもらいたいものです。

基本的に、東京にどんなマスコットが来ても全力で努力して愛するつもりですが、最低限お願いしたいのは「目があること(デザイン上、鼻や口がない子もいますので)」。もしMr.ピッチのように顔がなかったら、正直いって自分の中で「なかったこと」にして、無視していくことになっちゃうかもしれません。だって、怖いんだもの。

さて、ピカチュウを見に、味スタでも行ってきますか(違う!)。

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2008/09/08

今さらバーレーン戦について

2010年W杯アジア最終予選 バーレーンVS日本は2-3で日本の勝利。
日本は最終予選初戦で貴重なアウェイでの勝ち点3を手にした。

後半40分までは0-3でリードしていて、「意外にも楽勝だったな~」と思っていたところへまさかの2失点。後半の追加点がなければ勝ちきれないところだった。これだからサッカーはわからないし、おもしろいのだろうね(と、また他人ごとのように……)。

日本の3得点のうち2点はFKとPK。なんだ~と思いたくもなるが、セットプレーできちんと決めることがどれほど大事か、また、PKを安心してまかせられる選手がいることがどれほどありがたいことか、東京ファンであればきっと身をもって知っていることだろう(笑)。

決定力がないと散々いわれている日本代表だが、これは今に始まったことではない。しばらく前に読んだ「日本サッカー史 代表編(後藤健生・著)」にはこんな一節があった。1958年のアジア大会での代表のプレーについての言及だ。


(日本は)ゴール前でもパスを回すだけでシュートを打たないので、見ている関係者はイライラを募らせていたという。(旧版のP.93)


これを読んだとき、「な~んだ、シュートを打たないというのは日本代表の家風みたいなものなのか!」と思ってしまった(笑)。釜本さんはスゴいストライカーだったらしいが(見たことがないので知らない)、あれは突然変異のようなものだから「釜本の再来」を期待してもあまり意味がない。

だとしたら、セットプレーを確実に決めるサッカーを追求して勝ち上がっていくのもアリだ。中村俊輔と遠藤に頼るサッカーはそんなにおもしろくないかもしれないが、最終予選を勝ち抜くためにはそれもまた戦術!?なのかもしれない。それに、セットプレー以外の得点だってたまには決まるしね。

終わってみれば2失点というのは、いいクスリになったかもしれない。このグループでは、バーレーンはオーストラリアに並ぶライバルだと思うが、アウェイで楽勝してしまったら、日本は緊張感を失ってしまう。2失点のおかげで守備という課題もできたし、メンバーもさらに再考する必要が出てきただろう(今ちゃん……)。勝ったからいえることだけれど、失点してよかったと思うしかない。

次は10月15日、ホームでウズベキスタンと対戦。こう書いておかないと忘れそうなので、ここにメモしておく。埼スタで平日夜に開催されるようだが、TVでしっかり観戦するつもり。


*記事で引用した一節は「日本サッカー史 代表編 1917-2002」より。改訂版も買わなきゃと思いつつ、まだ購入していない。私のように最近サッカーを見るようになった人間には必読本だと思う。

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2008/08/26

「弱虫ペダル」

少年チャンピオン連載の自転車漫画「弱虫ペダル」(渡辺航・著)がコミックスになったので読んでみた。

Cdb7a1909fa0196ddb61b110__aa240__lおもしろいじゃないの~。

主人公の小野田坂道は、千葉の県立高校に入学したばかり。典型的なオタク少年の彼は、少しだけフツーのオタクとは違っていた……それは、秋葉原までの片道45キロの道のりをママチャリで通っていたこと。自転車ロードレースに燃える同級生・今泉は、20%以上もある通学路の激坂をママチャリで登る坂道を見て衝撃を受け、2人は勝負をすることに!?

少年が主人公の自転車漫画の場合、必ず「主人公と自転車の出会い」が描かれることになるのだが、この作品はその導入部がひと味変わっていておもしろい。何せ主役は、運動部が大嫌いでアニメ研究会設立を目指す気弱なオタク君なのだから。

しかも、秋葉原までの往復90キロをママチャリで通うのは「電車賃を節約するため」だし、生徒がほとんど使わない20%の激坂を登って学校へ行くのも「他人に聴かれることなく大声でアニソンを歌えるから」で、今泉との勝負を受けたのも「もし自分が勝ったら、今泉がアニ研に入ってくれる」からなのだ。

しかし実は彼には隠れた素質があって(笑)、やがて自転車選手(そのネーミングからしてクライマーでしょう)として開花していく……というのが今後のストーリーになるのだろう。1巻目が終わったところではまだこの勝負の結果もわからないし、坂道はママチャリ以外の自転車を漕いだことすらないのだけど。

自転車漫画というと、けっこう熱血系の絵柄が多いのだが、こちらは「オタクが主役」とあってか、親しみやすいかわいい絵が特徴。1巻の表紙に描かれた坂道君を見たときは、一瞬「女の子?」と思ってしまったくらい。2枚目キャラの今泉、自転車オタクの女子・寒咲と、キャラもいい感じでそろっている。

「オタクと自転車」というのは相反するイメージがあるかもしれないが、なんつーか、私のまわりはオタクな自転車乗りさんが多く、こういう設定はすごくしっくりくる(笑)。アニメ業界でもスポーツ自転車にハマっているクリエイターさんはものすごくいらっしゃるですよ。部品ひとつにもこだわれるあたりが、オタク系な人にも合うんでしょうかね。

1巻目のペースでいくと、坂道がロードレーサーに乗るまでにはまだまだだいぶかかりそうなのだが、できれば急がずにじっくり描いていってほしい。少年漫画誌にはいろいろ事情があるだろうが、「チャンピオン」なのでその他のメジャー誌よりは時間をかけて取り組むことができるはず……と期待しちゃうんだけど、大丈夫かな?

以前に紹介した「バイキングス」は、7巻が出たところ。しかし連載のほうは9月で終わってしまうらしい……ということは、7巻で描かれているあのレースでおしまいってこと!? 不完全燃焼のような気がして、残念きわまりない。「シャカリキ!」みたいに、「成長物語」として最後まできちんと描かれた自転車漫画になってほしかったなあ。

映画「シャカリキ!」も9月に公開ということで、一応見に行く予定。なんといっても、ネタになるし(笑)。

 

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2008/07/23

「秋春制」を考えてみた

Jリーグを「春秋制」から「秋春制」へ移行する検討が始まったそうだ。

スポナビの記事によれば、犬養会長は
日本協会とJリーグでプロジェクトを組み、かなり進んでいる。問題はたくさんあるが、手はあると思う。解決していけばいい
と語っている。これを読む限り、「秋春制」が実現される日がないとはいえないような気がする。

冬の積雪を考えると、「秋春制」は現実的ではないとする意見がファンの間では一般的だと思うし、私もそう思う。だが、話がここまで進んでいるのだとすれば、一度現実的になってみようじゃないか……とつらつらと考えてみた。

現行のスケジュールにおいて、リーグ戦が開催されない月は「12月・1月・2月・6月」だ(もちろん日程的なズレで、これらの月に試合をすることはあるが)。本来ならば6月はシーズン中なのだが、毎年のように、W杯だ予選だアジア大会だと中断してしまう。この時期を実質的なオフシーズンと考えて、全部で4ヶ月弱の「休業期間」があればリーグが成り立つと考えてみることにする。

まず、ウィンターブレイクは不可欠だ。日本の半分は豪雪地帯なのだから。Jリーグに所属するクラブはもとより、Jをめざすクラブのことも考えなくてはならない。冬の試合に必要なスタジアムや設備、練習場などにかかる費用を考えて「J参入」という夢をあきらめざるを得なくなるクラブが出てくるようではJリーグの理念に反するはずだし、これだけは絶対に避けなくてはならない。

現実的に考えると、やはり12月~2月のうちのかなりの期間を「ウィンターブレイク」として設定せざるを得なくなりそう。でも、シーズン中に3ヶ月近く中断してしまうというのは、リーグ戦への興味をそいでしまうことになる。ちなみにドイツのウィンターブレイクは、「クリスマス~1月いっぱい」くらい。「中断」という単語から連想される期間は、やはり2ヶ月未満というところか。

1月&2月をウィンターブレイクにしたとしても、豪雪地帯のクラブの負担は膨大なものになるだろう。これをどう解消していくかはJリーグの手腕の見せどころ。一方で、観客動員についても考えなくてはならない。たとえ雪が降らない地域でも、「寒いから行かない」というフツーのお客さんは多いはずだからだ。

サッカーは、プレーする側にとっては「ウィンタースポーツ」かもしれないけれど、観戦者にとってはそうではない。雪が降ろうが槍(笑)が降ろうがスタジアムへ行くというコアな客は限られているので、一般客をいかにして増やすかを考えなくては観客動員は伸びない。

もし犬飼会長の目論見どおり2010年に「秋春制」に移行したとして、ここの読みを間違えると、たとえ「イレブンミリオンプロジェクト」(2010年までに1100万人の年間総入場者数)が達成されたとしても、ここからいきなり右肩下がりになってしまわないとも限らない。

シーズン終了は、欧州にならえば5月ということになる。で、6月からがオフシーズン。この時期は今でも開店休業状態なので、問題はないだろう。で、開幕は9月か!?といきたいところだが、せっかくの夏休みの観客動員を逃す手はないだろうと考えると、7月下旬か8月に開幕というのが現実的なところ。

「酷暑問題が解決しないじゃないか」といわれそうだが、夏休みは新規の客……特に家族連れをJリーグに呼び込める絶好のチャンスである。現行のスケジュールでも、夏休み中のナイトゲームの観客動員は好調だ。なんといってもプロスポーツは興行であって、お客さんが入ってくれないことには話にならない。

それに、6~8月を休んでしまったら、ウィンターブレイクで2ヶ月間休むのは不可能になる。欧州のシーズン開幕も8月が多い。どっちにしても最近の日本は9月までは暑いのだし、酷暑のもとでのサッカーは避けられないのだ。選手たちにはツラいだろうが、蒸し暑さに負けていてはアジアで勝ち抜くことはムリなので頑張ってもらうしかない。

……といろいろ考えてみると、「な~んだ、スケジュールは今とほぼ同じで、夏に開幕するだけのことじゃん」というようなものになってしまった。移行する年の3月~5月には、ナビスコ杯でも集中的に開催すればいい。これなら本当にありうるかも。でも、これではオフシーズンなんだか中断期間なんだかハッキリしなくてメリハリがないし、別に今のままでもいいぢゃんという気もしてくる。

ともかく、このオフシーズン(12~2月)に、犬飼会長をはじめとして「秋春制」推進派の皆さんは、豪雪地帯にある各クラブ(Jリーグはもとより、J参入をめざす地域リーグまで)を実際に訪ねて、しっかり話を聞いてきてもらいたい。本気で推進するのは、それからのことだ。

個人的には、リーグ戦よりは「天皇杯」のシステムをまず改善してもらいたいと思ってしまう。

「秋春制」になれば天皇杯の重要度も増すとは思うのだが、「一部のチームだけ遠隔地で試合、一部のチームはホームで試合」のような変則システムだけはなんとかしてもらいたい。サッカーは「ホーム/アウェイ」の差が試合に影響するスポーツだけに、一部のチームだけ有利/不利になる現状は受け入れがたいのだ。

せっかく歴史のある大会なのだから、今のようなお役所的運営はやめて、もっともっと盛り上げていけば「エンペラーズ・カップ」の名にふさわしい立派な大会になると思うのだけど。

ところで、天皇杯決勝が元日に行われるようになった理由ってご存知でした? 私は「星屑たち それからのアトランタ組物語」(川端康生・著)を読んで初めて知ったのだが、けっこう意外……というか、「なぁんだ」というものでしたよ。この本の中の記述にある、故・長沼健さんのコメント。

あれ、なんで元旦にやるようになったか知ってる? 明治神宮があるでしょ。そこにお正月になると250万人も参拝客が来る。その1パーセントでも国立競技場に来てくれれば2万5000人になる。それを狙って元旦にしたんだよ。それでも当時は入らなかったけどね」。(P.49)

こんな理由で、1968年から元日開催になったのだそーですよ。続ければそれだけ歴史になって、風物詩とか呼ばれちゃうようになるんですね……と、だいぶ話題がズレたところで、本日はここまで。



↑あれから何度目かの五輪を迎える今、読んでみてもいいかも

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